医療・クリニックに強い税理士松浦薫のブログ
先日の日経新聞一面の記事。
企業がAIを活用して何かを判断・決定した際、
そのAIの判断基準や決定した過程について、企業に説明責任を求めることを求める
ことを含めた7原則を政府が策定した、という記事でした。
「説明責任」。
まあそうですよねー(いろいろと課題はあるけど)、という感じです。
例えば、金融機関で融資を受けたいと申し込んだら、
弊社のAIが融資不可、との判断となりましたので、今回は融資を見送りました。
といわれたら。
例えば、就職面接を受けたら、結果通知が送付されてきて、封をあけたら、
弊社のAIによって、採用不可、との判断となりましたので、今回は採用見送りとなりました。
といわれたら。
・・・考えただけで、ぐったり脱力してしまうシチュエーションですよね。
この記事を見た時に、WOWOWで放映している「パンドラⅣ AI戦争」というドラマの1シーンを思い出しました。
(注:少しドラマのすじがきネタバレになります)。
向井理さん演じる内科医が医療用のAI診断を開発し、そのAI診断を時の厚生労働大臣が受けたところ、
治療が必要な疾患が見つかり、そのことを内科医が患者である厚生労働大臣に告知するシーン。
詳しくは言えませんが、その「告知のセリフ」を聞いて、
最後の説明責任って本当に大事だし、そこを放棄しないことがAI活用のキモになるのかもな
と、ちょうど感じたところだったのです。
そのドラマでの内科医の「告知のセリフ」の要点、というかポイントだなー、と思ったこと。
① 診断の内容(どういう疾患で、患者の体の中で何がおこっているのか)を、患者の言葉で伝えているかどうか。
② 診断を受けて、患者が思うこと(=「で、どうしたらいいの?」)について、答えを提示しているかどうか。
③ そして、その答えが、その中で「その患者」にとってベストだと思われる選択肢(この場合、「手術」だったのですが)だと思われるものかどうか。
とどのつまり、患者さんが思う
私の体で今何がおこってるの?
それで、どうしたらいいの?
それは私にとってベストな選択肢?
という疑問に、
どれだけ相手の「文脈」や「立場」を理解して、相手が受け入れやすいストーリーで語ることができるか、
ということなんだなー、と。
・ ・ ・みたいなことを考えていた矢先に冒頭の記事が出てきて、
妙に腹落ちした今日この頃、なのでした。
いま、AIにとってかわられ(るといわれている)業種の上位である「税理士」なのですが、
日々お客様と向かい合ってお仕事させて頂いていて、実は、
正直、ピンとこない
というのが正直なところです。
先ほど出てきたドラマの場合、
お医者様は、患者様の「いのち」についてお話ししますが、
私たち税理士は、お客様の「おかね」についてお話しをします。(もちろんそれ以外の話も多いですが)。
どちらも、その人にとって、ふつう大事なもの。
AIでの検討の結果はこうなりましたから、こうしたほうがいいです。
ってな説明「だけ」を受けたい、と思う人は少ないですよね。。。
個人的には、
AIでもフィンテックでもなんでも、
時間や空間の壁をとっぱらって、お客様や自分のサービスにメリットがあるものは積極的に取り入れていきたい
と思ってるのですが、そのプロセスの中で、
自分が果たすべき役割が何なのか、については、日々思考を重ねています。
今回の日経新聞の記事と、ドラマで、
また一歩、「自分が果たすべき役割」と「そのためにもっともっと蓄積していくべき知識や能力」が
また少し具体的になった気がします。
そのお客様に必要な情報を、適切にお伝えして理解してもらうためには、
日々必要な知識をアップデートし、
プロセスの理解を放棄せず、
そしてそれを適切に言語化し、
お客様に合う文脈で伝える「コミュニケーション能力」が必要、
といったところでしょうか。
(言語化してみると、やっぱりまだまだ修行中)。
先が読めないけど、ほんと、面白い時代に仕事できてるな~と思う毎日(笑)。
【ひとりごと】
前から気になっていた近所の薬膳中華料理「古月」さん。初めていってみました。
薬膳スープ。体にしみる感じ。
そして、体にいい、だけじゃなくて、もちろん美味しいお料理でした^^。