医療・クリニックに強い税理士松浦薫のブログ
「最近ちょっと親の調子が変で。。。認知症とかになっちゃったらどうしよう」
最近、同世代の間で聞かれることの増えてきたこのセリフ。
お客様からも、親御様のご体調が芳しくなく、、、というおはなしをお聞きすることが増えてきたような気がします。
お相手にとって辛いお話ですので、あまり深掘りはしたくない、、、と思いながら、医療税務と資産税を専門分野としている身としては、
どうしても見て見ぬ振りはできない話、だったりしますので、
少し深くお話をお聞きするようにしています。
なぜか。
「親が認知症になった」
この状況には、子供世代の自分たちが気がついていないリスクが隠れている可能性があるからです。
何かというと、まず1点目。
認知症になったらその方の名義の預金口座は凍結されてしまうことがあります。その場合、家族とはいってもその口座から預金の引き出しができなくなってしまいます。「口座を持っている方が亡くなった場合、相続手続きが終わるまで預金口座が凍結される」のと同じです。
介護や病院代、そもそも実家にかかっていた水道光熱費などの生活費、、、
もし、親御さんの口座が凍結されてしまったら、、、誰が負担することになるのでしょうか?
そして2点目。
認知症になった場合、預金口座などの金融資産だけでなく、土地・家屋といった不動産も、、、売却などの処分もできなくなります。
「もう実家にひとりで暮らすことはないだろうから、実家を売却してその資金でよさそうな老人ホームでも、、、」
・ ・・できないのです。
認知症を発症してしまった親御さんに代わって、親御さんご自身の財産を処分し、納得のいく医療や介護をつけてあげたい、、、
そんな「できて当たり前に思えること」ができなくなってしまう。
これが知っておいて頂きたいリスクの本質です。
このお話をすると、多くのお客様が「・・・。」と言葉が出ない状態になられます。そうですよね。
でも、事前にリスクに気づかれたからには、何かしらの対策を検討いただきたい、と思います。
「万が一のときに、親御さんが安心してお子様に全てをゆだねることができる。
そして、お子様であるご自身が無理せずに、心おきなく、親孝行ができる」
そんな状態にしておくことが、、、大切ですよね。
対策の手法としては、「成年後見人制度」、「家族信託(こちらは別述)」、「贈与や譲渡による財産移転」など幾つかありますが、何が正解、というのは、ご家族の状況・お客様の考え方によって変わってきます。
お考えや状況を丁寧にお伺いし、その方にあったベストな提案をする。
モットーである、
「《その》お客様が、一番、長く深く関わりたいと思うコンサルタント」
を目指す身としては、ここは譲れないポイントだったりします。
かかる費用や税金の試算はしてくれるけど、それだけ。
・・・それも税理士としては合格点という考え方もありますが、
私は、自分がお客様だったら、そんな相手はそもそも信頼しないよな、と思ってしまうのです。
親の認知症リスクや介護リスク。今後これまで以上に多くの方にとっての身近な問題になってくると思います。その分、それに対する対策も日々進化してくるはず。
専門家として全てを網羅することは不可能ですが(力不足?)、
少なくとも、「≪その≫お客様の身になって一緒にベストな答えを探す・探し続ける」ことに関しては、誰にも負けない専門家でありたい。
「最近ちょっと、親の調子が変で・・・」
お客様からそんなご相談のお話を頂く度、日々思いを強くするのでした。
追】認知症については、医学的な理解が不足しているなー、と自分の中でも問題意識があり、先日、「認知症」に関する講義を受けてみました・・・が、少し(いや、かなり)難しかったです。医学的な理解をしようと思ったのが間違いだったようで。