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AI時代の仕事を考えてみた:「医療4.0」

2018.11.18
BOOKS

たまたま見かけて購入した書籍。
「医療4.0」。

医療4-0-第4次産業革命時代の医療-加藤-浩晃

書籍の帯に並ぶ、
#人口知能(AI)#IoT #ビッグデータ #ロボティクス #5G #ブロックチェーン #AR/VR/MR
の文字に、即買いしてしまいました。

というのも、
「医療税務」を専門領域としている税理士として最近特に感じていること。
医療業界、医療関係者の方とお話していると、

 

「お医者様と税理士」、専門領域は異なりますが、構造的な観点で「共通点」があるなーと(おこがましくも)。

 

なにかというと、

 

個人に蓄積される専門知識と経験が、付加価値の源泉となる

にもかかわらず、業務の一程度が、AIなどの人口知能に取って代わられると言われている

そのため、将来的なIT・テクノロジーの進化(の度合いとスピード)も見据えながら、

 

「自分こそ」が提供すべき付加価値が何なのか?

そのためにどう意識的に知識・経験を積み重ね、戦略的に他のリソース(主にはITやシステム)を活用(もしくは敢えてテーブルに乗る)するのか?

 

を考え続ける必要がある。

 

といったところが、「構造的に似ている」のではないかな、と思っています。

(まあ、税理士と、というよりは、士業と、言い換えたほうがよいのかもしれませんが、会計は特に『AI取って代わられ業務』に上がることが多いので笑)
その他にも、「大手と特色のある個人との二極化」などなど色々と業界としての構造も似ているところがありますが、これはまた別の話で。

なので、個人的には、「医療✖テクノロジー」でのいろんな動きは、意識して注目するようにしています。

自分のお客様にとって影響がある、だけでなくて、アナロジーとして、

 

自分自身が今後、「何で」お客様の役に立ち続けられるのか

そのために、今、「何を」すべきなのか

 

を考えさせて頂けるので。

 

で、拝読してみて。

 

・・・すごく「内容の濃い一冊」でした。

臨床の現場に立ちながら、決して遠くない未来を見据えて、いろんな「医療✖テクノロジー」の活用(もしくは開発)に取り組んでいる現役の、何と、30人の先生(!)による「今のチャレンジ」と「将来展望」のお話。

「医療✖テクノロジー」の新しい動きを知るだけでなく、
自分が今身をおく、「クライアントサービス」についても、貴重な示唆をいただけました。

30人の先生のどのお話も大変示唆に富んでいたのですが、
中でも心に残ったキーワード、文章をいくつか。私なりに構造化して理解してみました。

①技術革新により、これまでの「場」と果たしてきた「役割」が転換。

・その中で、「専門家としての立ち位置」をどう考えるのか。
「情報の非対称性が是正」され、「個人の見える化」が進み、「データベースの重要性」が更に増していく。
「場」が移行(医療機関から家庭へ)し、「役割」は転換(患者のセルフケアのサポート、予防を提供し更には教育を提供する場所へ)
・セルフメディケーションは、より「個別化」と「予測医療」へ移行。その移行を意識して専門性を身につける。

②ただし、「顧客志向」の重要性は変わらない、むしろそこが「全ての起点になる」と意識する。

・目まぐるしい変化が起こる時代だからこそ、目の前の患者の困っていること、不満に思っていること、不便に感じていることなどを正確に把握し、スピーディーに解決策に落とし込む
圧倒的な現場視点からくる高い当事者意識と使命感、これが代替不能な原動力になる。
・プログラミングなどの技術のコモディティ化により問題解決の実現可能性は上がる、「問題解決できる人」になるためには、どれだけ未解決のニーズに触れ合っているか、解決するためのポイントを嗅ぎ分けるか、が重要

③そのためには、そもそもとの専門的知識を蓄えながら、現場の最前線で、未解決のニーズに触れ合い、問題を把握して解決する、というサイクルを通じて、「自分の専門性」を日々アップデート(ニーズに合わせて複合的に&高度に)し、リアルな触れ合いで提供できる「共感力」や「人間力」を高めていくことが必要

・ARやVRが進化して自宅にいながらリアルに近い体験ができるようになったときこそ、リアルでしか体験できない「触れ合い」や「繋がり」がさらに価値を増す
・その医師は信頼に足る人物か、本当に自分のためを思って考えてくれているのか、自分の不安に寄り添ってくれているかといったことを示せる力が、今後は必要になってくる。人としての医師が紡ぎ出す言葉にどれだけパワーを持たせられるか
・その時代に備え、医師は医学の世界だけではなく、世の中の様々な分野に興味を持ち、知見を深め、サイエンスとしての人体の構造だけではなく、人の心を理解する総合的な人の専門家でなければらない

・ ・ ・ などなど。

「ポイントは3つ」のクセから、無理やり3つにまとめてはみたものの、
30人の先生方のお話は、全然3つどころかもっともっと示唆が多く、

「将来を予測し、専門家としての自分に求められる役割の変化を考え、今日の仕事に向かう。」

という意味で、業界は異なれど、自分自身に置き換え、色んなヒントを頂け、考えられる書籍でした。もう少し寝かせ2度読みは決定。

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