相続

院長先生の相続:「実家の空き家」を相続したら?

2019.07.15
相続

医療・クリニックに強い税理士、開業ドクターの「伴走者」、松浦 薫です。

モットーは、「お客様が『一番永く、深く関わりたいと思う専門家』になること」

院長先生が理想とする、自分らしいクリニックを作って頂くために、頼りになる「伴走者」であることを目指してます。

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今回は、ご相続について。

 

一人暮らしの親が亡くなって、実家が空き家になっちゃったんだけど・・・

 

最近よく頂くご相談。

院長先生に限らず、相続税申告のご相談を受けたときに、結構な割合で、このお悩みをお聞きします。

「一人暮らしのご高齢者」が増えているってことですね。

 

実家が空き家になっちゃったんだけど・・・の後に、

・・・このまま放置しておいたらどうなるの?

・・・更地にしてしまおうと思うんだけど、どうなるの?

・・・売却しようと思うんだけど、どう思う?

 

などなど、色んなパターンでご質問を頂きます。

相続で取得した不動産の場合、通常の不動産の譲渡での論点に加えて、幾つか追加で考えることがでてきます。

※ 令和元年7月時点での情報です。

※ あえてわかりやすくするために、「特にご注意いただきたいこと」に絞って記載しています。特例を適用するためには、下記に挙げた情報以外に多くの適用要件があり、慎重な判定が必要です。

① このまま放置しておいたらどうなるの?

ご実家は、「空き家」とはいっても、

  • ご自分が子供時代を過ごしたご実家には色んな思い出や愛着があって、なかなか「取り壊す」という選択肢にならない、ですよね。
  • なったとしても、「家屋の取壊し」には一程度の費用がかかりますし、

うーん、とりあえず、このままで・・・

と思われるお気持ち、よくわかります。

 

院長先生に限らず、私が税理士として相続のご相談を受ける中で、都内に実家があるんだけど、そのまま置いてある、という方は多いです。

特に働き盛りのサラリーマンの方、など、「忙しくてどうしても後回し」という方、よくお聞きします。

 

「とりあえず、このままおいておく」、という選択肢をとった場合、幾つか念頭においておいていただたほうがよい論点があります。

 

  1. 固定資産税の課税標準優遇:「住宅用地の特例措置」の適用で課税標準が6分の1(小規模住宅用地の場合)になる。ただし、「特定空家」(放置しておくと危険となるおそれがある空き家など)に対する、今後の課税強化については留意が必要です。
  2. 所得税(譲渡所得税)の取得費加算:相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡すると、相続の際に支払った相続税の一部が取得費として加算する(=つまり、売却益にかかる譲渡所得税を減らす)ことができます。
  3. 家屋の取壊し費用:売却時まで家屋を保存しておくことで、「家屋取壊し費用」が土地の売却時の譲渡費用となり、売却益にかかる譲渡所得税を減らすことができます。
  4. 空き家の3000万円控除:土地の譲渡で、空き家3000万円控除を適用する場合には、耐震基準を満たさない家屋は、取り壊して更地にしてから譲渡する必要があります。

② 更地にしてしまおうと思うんだけど、
どうなるの?

更地にして頂いた場合も、幾つか留意点があります。

  1. 固定資産税の優遇がなくなる:「住宅用地の特例措置」の適用がなくなり、固定資産税が上がってしまいます。ただ、近年、市区町村によっては「経過措置」(空き家を取り壊しても売却まで固定資産税に変更がない形にする)を設け始めているところもあります。
  2. 家屋の取壊し費用:前述①のとおり、土地を売却する際の譲渡費用として売却益を圧縮することができますが、家屋の取り壊しが土地の譲渡より相当前に行われたものである場合は、譲渡費用と認められない可能性もあるため注意が必要です
  3. 空き家の3000万円控除:取り壊した後に、せっかく空いているから、、、と駐車場として貸し付けたり、他の家屋を建ててしまったりすると(それはあんまりないかもしれませんが)、空家の3000万円控除の特例の適用がなくなってしまいます。

 

③ 売却しようと思うのだけど、どう思う?

売却をお考えの場合は、まず、2つの「時点」を意識されるとよいと思います。

つまり、相続で取得した実家の譲渡で考えるべき2つの特例、空き家3000万円控除取得費加算の特例 を使うかどうか。です。

相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するかどうか(=空き家3000万円控除の検討)

相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却するかどうか(=取得費加算の特例の検討)

 

・・・色々、ありますね。

実家の空き家、と一言でいっても、検討論点はいろいろ。

 

こういうとき、「医療税務」「資産税」を税理士としての専門領域に選んでよかったなぁ、と思ったりします。

 

【ひとりごと】

表参道のCILQで記念日ランチ。

恒例の(笑)、くだらないあれやこれやで、げんなりな一週間でしたが、

色んな人に勇気をいただき、また前を向いてガンバリマス。

 

 

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