院長先生のライフプラン

ドクターの不動産投資②:「事業的規模」のメリットと留意点

2019.09.16
院長先生のライフプラン

前回の記事、院長先生の不動産投資①「事業的規模って何?」 の続き。

今回は、

  • 「事業的規模」になるとどんなメリットがあるのか?
  • 「事業的規模」の留意点は?

について、整理しておこうと思います。

 

① 青色申告特別控除が65万円

まず、青色申告の特別控除が最高で65万円控除できます。

事業的規模でない場合、最高10万円の控除ですので、大きいですね。

ちなみに、青色申告の特別控除、は、ざっくりいうと、

収入から経費を引いた残りの「所得」から、さらに最高で65万円(事業的規模でなければ最高10万円)引いてあげるよ、

というものです。大きいですよね。

ただ、令和2年の所得から、こちらは55万円となることが決まっています

(その代わり、基礎控除は38万円から48万円になります)

 

② 専従者給与の適用があります。

事業的規模の場合、専従者給与、つまり、同一生計の家族で、専従者に該当する方に払った給与を経費として控除することができます。

もちろん、専従者給与に該当するための要件は忘れず満たしてくださいね。

 

③ その他、色々メリットあります。

その他にも、事業的規模のメリットはいろいろ。

  • 貸倒引当金:事業的規模の場合、貸倒引当金の繰り入れが可能となります。
  • 建物の取壊し、除却などの資産損失:事業的規模の場合、その全額を必要経費として算入できますが、事業的規模でない場合、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額が限度となってしまいます。
  • 賃貸料等の回収不動による貸倒損失:事業的規模の場合、回収不能となった年分の必要経費に算入できますが、事業的規模でない場合、収入に計上した年分までさかのぼって、所得金額の計算をやり直す必要があります。。。(うう。。)

 

④ でも、留意点もあります。
複式簿記・・・

・・・といったように、色んなメリットがありますが、幾つか留意点もあります。

 

まず、事業的規模だから青色申告特別控除を65万円控除したい!という場合、

  • 複式簿記による記帳 と、
  • その記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付

する必要があります。

エクセルでパパっと収入と経費を入れて利益を計算しました

では、適用できないということですね。

お忙しい院長先生が、複式簿記の記帳とBS・PL作成するのは、非現実的かと思いますので、

事業的規模であれば、税理士にお願いする前提で、とお考えいただいたほうがよいかもしれません。

 

あともう一つの留意点。

事業的規模、となると、一つ追加で、税金がかかってきます。

個人事業税という税金を都道府県にご納税頂く必要がでてきます。

  • 青色申告特別控除の適用前の金額から、290万円を控除した額の5%

 

290万円の控除がありますので、

大きく不動産投資をなさっている場合でなければ、それほど気にされることはないかもしれませんが、

留意点として記載しておきます。

 

院長先生の税務をお預かりしていると、

クリニックや医療法人の税務だけでなく、不動産に関するご相談も頂くことが増え、

自然に不動産税務も専門領域になってきます。ありがたいことです^^。

 

【ひとりごと】

日経ヘルスケア2019年9月号「医療・介護のタスク・シフティング」。

タスク・シフティング、大事な概念ですよね。

お客様もそうですが、自分自身ももっと取り組まねば、と思いました笑。