医療・クリニックに強い税理士松浦薫のブログ
今回はあまりクリニックとは関係のないお話。
あまり、いいお話ではないのですが、たまに開業ドクターの先生がたからご相談を頂き、普通にお答えすると、
え!そうなんですか?
とびっくりされることが多いので、、、。なにかというと、
夫(妻)と離婚して、「財産分与」で財産をもらった(あげた)んですが、税金はかかるのか?
というご相談です。
まずそもそも、「財産分与」とはそもそも何なのでしょうか。
民法で定められているお話で税理士の私には専門外なので、シンプルにお伝えすると、
夫婦が離婚したときに、相手方の請求に基づき、もう一方が相手方に財産を渡すこと
を言います。もう少し詳細にいうと、
財産関係の清算や離婚後の生活保障のための「財産分与請求権」に基づき財産の給付を受けること
つまり、
結婚している間に二人で協力して蓄積してきた財産を清算しましょう
離婚した後の生活保障のための扶養料や慰謝料を請求する権利があるので、財産を給付してください
ということなんですね。
そのため、ここが誤解されがちなのですが、
無償で財産をもらったわけではなく、
「財産の清算」や「財産請求権に基づく給付だから」というのがポイントです。
じゃあ、税金は全く心配しなくていいのか、というと、そうではありません。
実は、財産分与に関しては、
のですね。
所得税法の「譲渡」は
有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいい、
その中には通常の売買のほか交換、競売、代物弁済、財産分与なども含まれる
(参考:国税庁HP「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」)
からです。
例えば具体例でいうと、
【具体例】
の場合、どのような税金になるかというと、
妻:①で記載したとおり、「財産分与」は「贈与」ではないので、贈与税はかかりません。
夫:財産を「譲渡」したことになりますので、他の所得と一緒に「確定申告」で譲渡所得税の申告をしていただく必要があります。
その場合は、いくらで譲渡したことになるかというと、
財産分与時の時価=収入
となりますので、他の要素を省略してシンプルにいうと、
時価7000万円 - 取得価額(減価償却考慮後)5000万円 = 2000万円
が、譲渡所得となります。
え、財産渡した上に、ものすごい税金がかかるの、、、
と思われるかもしれませんが、実はもう一つ考慮する要素があります。
居住用財産の譲渡の場合は、要件を満たしていれば、
「居住用財産の譲渡所得の特別控除」(譲渡所得3000万円までは譲渡所得税がかからない)などの特例を受けることができますので、
財産を渡すほうにも税金がかからないケースも多いかと思います。(もちろん、確定申告は必要です!)
ということで、離婚による財産分与の場合、
財産をもらったほうには「贈与税」はかからず財産をあげたほうに「譲渡所得税」がかかる
のが一般的なのですが、
場合によっては、財産をもらったほうに贈与税がかかってしまうので注意が必要です。
(以下、国税庁HPより。次のいずれかに当てはまる場合贈与税がかかります)
最近の国税不服審判所の裁決事例(平成30年1月11日裁決)でも、
財産分与された財産が「不相当に過大ではないか」が論点となり、納税者と処分庁が争った事例があります。
裁決では、「不相当に過大ではない」と判断をされ、
無償による資産の譲渡ではなく、財産分与という判断となり、妻は第二次納税義務を免れたのですが、
その際の「財産分与」にあたるかどうか(不相当に過大であるか否か)の判断基準については、
とのことでした。
とことが大事、ということですね。
【ひとりごと】
「新 北斎展」。葛飾北斎、400件以上の展示が圧巻。
93才で亡くなるまで、何度も名を変え、画風を変え、自分を「アップデート」し続けた北斎、見習いたい!
あっという間に今年も3月。 確定申告シーズンです。 ということで、本当はブログを更新している場合ではないのですが、 タイムリーなトピックなので。 お忙しい先
前回の記事の最後に記載した、 会社の役員のかたが、ライブハウスなどでの歌唱やCDを収録して販売していた所得事業所得として申告したところ、雑所得と判断され、過少申告加算税を課されてしまいました。
医療・クリニックに強い税理士、開業ドクターの「伴走者」、松浦 薫です。 モットーは、「お客様が『一番永く、深く関わりたいと思う専門家』になること」。 院長先生が理想とする、自分らしいクリニ