税金

開業ドクター、医療法人理事の「副業」にかかる税金は?

2018.10.23
税金

医療・クリニックに強い税理士、開業ドクターの「伴走者」、松浦 薫です。

モットーは、「お客様が『一番永く、深く関わりたいと思う専門家』になること」

院長先生が理想とする、自分らしいクリニックを作って頂くために、頼りになる「伴走者」であることを目指してます。

 

※ 私のちょっと(かなり!?)変わったプロフィールはこちら。

消費財のマーケティングボストンコンサルティンググループ(BCG)でコンサルタントやっとこさ天職見つけて今は税理士・・・

キャリアのくねくね紆余曲折っぷりを、10人中10人の院長先生に面白がっていただいています(笑)。

Profile vol.1 キャリア前半~戦略コンサル(BCG)など。

Profile vol.2 キャリアつづき。なんで税理士。

 

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理事の業務とは別に、ーーの仕事をしているんだけど、どうしたらいい?

 

たまに、お客様からこういったご相談を受けることがあります。
医療法人のお仕事以外に、医療法人とは全く関係のない仕事を個人で「副業」としてなさっているケースです。

また、前職コンサル時代の同僚から、「会社とは別に副業で個人コンサルやってるんですが、、、」という相談を受けたりすることも増えてきました。
「副業」が決して珍しいものではなくなってきた、ということなのでしょうか。

ちなみに、医療法人の理事長、理事が医療法人からもらう「役員報酬」は「給与所得」という所得になりますが、
個人「事業として」でお仕事なさっている所得については、「事業所得」になります。医療法人になる前の個人開業時代の所得も同じ「事業所得」です。

この「副業」についてのご相談を受けた場合、私がお伝えしていることを、
備忘的に書いておこうと思います。

① そのご収入から経費を引いた金額は20万円を超えますか?

・ 20万円以下の場合は、そもそも確定申告不要です。
・ でも、給与収入(医療法人の理事報酬です)が2000万円を超える場合は申告が必要なので、注意が必要。
(今回のケースには当てはまらないですが、そもそも事業所得者や不動産所得のみの方も申告は必要になります)

② そのお仕事は、
「事業所得」になりますか?

ここは、少しややこしい話になるのですが、その所得の区分が「事業所得」なのか「雑所得」なのか、の判断が必要となってきます。
– 「事業所得」とは、文字通り、事業として営んでいるものの所得(詳細後述)で、
– 「雑所得」とは、給与所得や事業所得、不動産所得など9種類の所得に、当てはまらないもの所得で、よくある例としては、理事長が専門誌等で原稿を書かれた際の「原稿料」や、サラリーマンや主婦がネットオークションやフリーマーケットで得た収入などがあります。
– 基本的には、その所得が「事業所得」に該当するかどうかを考え、該当すれば「事業所得」で、該当しない場合は「雑所得」という位置付けになります。
で、なぜ「事業所得」か「雑所得」かの判断が必要か、というと、「事業所得」は、青色申告することによって幾つかのメリット(青色申告特別控除が受けられる、など)があるのですが、
“そもそも、それって「事業所得」?”
という問いにたいする明確な基準が設けられていないため、
「事業所得」として申告したにもかかわらず、「雑所得」であると判断されてしまう(=メリットがなくなる)ケースが発生してしまう、という事態になることが。
まさに、この例の参考になる事例が、最近の「国税不服審判所」の裁決事例に乗っていました。税務署が、どのように「事業所得」かどうか、を考えるのか、がよく理解できる事例なので、後で詳しく記載したいと思います。

③「事業所得」の場合、
ーーーの届出は提出されてますか?

事業所得の場合、いくつか、届出を提出して頂く必要があります。詳細は、
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2090.htm
国税庁のホームページ(新たに事業を始めた場合の届出など)にのっていますが、
ここでは、その中でも重要かな、と思うものについて記載します。
「個人事業の開廃業等届出書」:まさに、「開業したよー」という届出です。提出期限は、事業開始等の日から1か月以内
「所得税の青色申告承認申請書」:「青色申告特別控除」など、青色申告のメリットを享受したい場合、提出していただく必要があります。基本的には、事業所得のお客様には必ず提出をお勧めしています。提出期限は、承認を受けようとする年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合には、開業の日から2ヶ月以内)。ご相談を受けた時には提出期限が過ぎていて、「青色は来年からですね」ということも。
– あとは、専従者給与を払う場合の「青色事業専従者給与に関する届出書」や、もし給与を払う場合には、「給与支払い事務所の開設届出書」といったところでしょうか。

④その上で、事業に関連する経費の領収書は、ちゃーんととっておいてくださいね!(事業を始める前に使った経費も!)

事業を始める前に使った経費だったとしても、事業に直接関連する経費であれば経費として計上します。

といったようなお話をさせていただくのですが、
とはいえ、色んなご事情が皆さんそれぞれに違いますので、
詳細はお話を伺いながら、、お客様にとっての「最適解」を探していきます。

で、上記2)に関連して、最近の「国税不服審判所」の採決事例に参考になる
例が上がっていました。

会社の役員のかたが、ライブハウスなどでの歌唱やCDを収録して販売していた所得事業所得として申告したところ、雑所得と判断され、過少申告加算税を課されてしまいました。
国税不服審判所で審査を請求しましたが、審査請求は棄却。
雑所得として

CDとか出してれば、立派に事業所得では?なんて思ったのですが
そういうわけではないのですね。
少し長くなってしまったので、次回に詳細を記載しようとおもいます。

開業ドクター、医療法人理事の「副業」にかかる税金は?②

(雑感)
個人的には、「副業」という言葉より、「複業」という言葉に変えて欲しいなーと思うところです。
「副」ってあたりが、なんとなく、片手間感を感じさせる気がして違和感。
「副業」ですが、といいつつ、結構気合い入った、いいお仕事する人、いっぱいいますし。結局、「正」だろうが「副」だろうが、仕事は仕事。受けたからには、手は抜けないんですよ。

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