税金・マネーのお役立ち情報

教育資金の贈与、気を付けるポイントは?

2019.09.08
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医療・クリニックに強い税理士、開業ドクターの「伴走者」、松浦 薫です。

モットーは、「お客様が『一番永く、深く関わりたいと思う専門家』になること」

 

※ 私のちょっと(かなり!?)変わったプロフィールはこちら。

消費財のマーケティングボストンコンサルティンググループ(BCG)でコンサルタント天職見つけて今は税理士・・・

キャリアのくねくね紆余曲折っぷりを、10人中(ほぼ)10人の院長先生に面白がっていただいています(笑)。

Profile vol.1 キャリア前半~戦略コンサル(BCG)など。

Profile vol.2 キャリアつづき。なんで税理士。

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今回は、教育資金の贈与 について。

クリニックの税金とは別に、先生個人の税金についてご相談を頂くことがあります。

中でもよくあるのが、こちらの教育資金の贈与の非課税 についてのご質問。

 

親が、息子(娘)に教育資金の贈与をしたい、といっているんだけど・・・

 

といったようなご相談です。

院長先生の親御さんが、お付き合いのある金融機関さんなどから、

「相続対策にお孫さんに教育資金でも贈与なさったらどうですか?」とすすめられて、というパターンも多いようです。

 

令和元年度の税制改正で幾つか見直しも入り、さっそく国税庁からQ&Aの改訂も発表されましたので、

間違えやすいポイントなど、まとめておこうと思います。

(注:すべて令和元年8月時点での情報となります)

① そもそもどういう制度?

「教育資金の贈与の非課税」、そもそもどういう制度かといいますと、

  • 平成25年4月1日から令和3年3月31日までの間に、
  • 30才未満の方が、
  • 教育資金(※細かい定義があります)に充てるため
  • 直系尊属(祖父母など)から贈与を受け(注:信託銀行などで口座を開設し、預け入れてもらう)、
  • 金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出した場合、
  • 1500万円までは贈与税が非課

となる制度、です。

 

もともと、平成31年3月31日までの特例措置でしたが、この改正で2年延長、令和3年3月31日までの制度となりました。

 

② 令和元年改正のポイントは?

前述のとおり、令和元年税制改正で期間延長となりましたが、その他にも幾つか改正となりました。

 

  • 受贈者の所得要件の追加:贈与を受ける人の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、適用ができません。

→そりゃそーだ、という声が聞こえてきそうですね笑。

  • 教育資金の範囲の見直し:受贈者が23才以上の場合、学費ではない、いわゆる「習い事」の資金は対象外となりました。
  • 贈与者が死亡した場合の残高に対する相続税課税:教育資金の贈与をしてから3年以内に、贈与をした人が亡くなった場合、贈与した金額のうち、使いきれず残ってしまっていた金額は、相続財産に足し戻し(つまり、相続税が課税)されることになりました。ただし、下記の3つのいずれかに該当する場合は、足し戻す必要はありません。

① 贈与を受けた人がその時点で23才未満である場合

② 贈与を受けた人が学校等に在学している場合

③ 教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受けている場合

  • 契約の終了事由の見直し:贈与を受けた人が30歳に達した場合でも、その時点で上記の②・③に該当する場合は、その時点での贈与税課税はありません。ただし、その人が学校等を卒業したり教育訓練が終わった年の年末に、贈与された金額を使いきれていない場合は、その金額に贈与税が課税されます。また、40歳になったときもその時点で贈与税課税となります。

 

③ 間違えやすいポイント:1500万円は「贈与をうける人」ひとりあたり。

ここで、

あ、意外と誤解されておられるケースが・・・

と思った点を一つ。

1500万円の限度額は、贈与を受ける人、一人あたりです!

贈与をする人、一人あたり、ではありません。

つまり、おじいちゃんとおばあちゃんがそれぞれ1500万円、合計3000万円が非課税・・・なわけではありません。

贈与を受けるお孫さん一人につき、1500万円が限度、です。

性質的に、贈与する方が検討されるものなので、意外にここを誤解されているケースが多いな、と思います。

冷静に考えたら、贈与者一人当たり1500万円にしたら、えらいことになってしまう・・・と思いますが笑。

 

④ 気を付けて頂きたいポイント:
”私も贈与したかったのに・・・”

それに絡んで、1点ご注意点、というか念頭においていただくとよいこと。

1500万円の限度額は贈与を受ける人一人当たり、ですので、

もし他の方(たとえば、相手方の祖父母様)も贈与してあげたいな~、と思っていた場合、

限度額を使い切ってしまわれると、

こちらも、贈与してあげたかったのに・・・

ということがあったり、なかったり、する、というのは念頭においておいていただくとよいかもしれませんね。

 

⑤ もう一つポイント:
それ、そもそも贈与税非課税では?

そして、もう一つのご注意ポイント。

お孫さんの学費を払ってあげる場合、その都度払ってあげる場合は、そもそも贈与税は非課税、です。

国税庁 タックスアンサー「贈与税がかからない場合」

扶養義務者が、生活費や教育費として必要な都度贈与するものはそもそも贈与税はかかりません。

ですので、

入学金を払ってあげるためだけに、信託銀行に信託口座を作らせる

というのは、ちょっと考えられた方が良いかもしれませんね。

 

今回の教育資金贈与の非課税、延長になるだろうな~と思っていましたが、やっぱり延長でした。

改正の方向も、本来の趣旨にそったものが多い印象です。

お孫さんの教育資金にまとめて贈与、などご検討の際は参考にして頂ければと思います。

 

【ひとりごと】

荻窪のタウン誌「荻窪百点」。

お客様が原稿を書かれていて、いつも拝読させて頂いてます。

お客様ですが、本当に素敵!で、かっこいい人生の大先輩です。

私も見習って文章力を・・・上げていきたい笑。