開業ドクター支援日記

「医療・クリニックに強い税理士」ってどんな税理士?(その①):医療固有の税務に精通

2019.03.24
開業ドクター支援日記

医療・クリニックに強い税理士、開業ドクターの「伴走者」の松浦 薫です。

モットーは、「お客様が『一番永く、深く関わりたいと思う専門家』になること」

院長先生が理想とする、自分らしいクリニックを作って頂くために、頼りになる「伴走者」であることを目指してます。

※ちょっと(かなり!?)変わった詳しいプロフィールはこちら。10人中10人の院長先生に面白がっていただいています(涙)。

 

ここ1週間で、

 

医療に強い税理士ってどんな税理士?

 

というご質問を頂く機会が何度かありました。

 

これまでは、なんとなく、

 

  • クリニックのお客様が多く、
  • 開業から個人事業、医療法人化、医療法人の顧問をすべて見ているので、安心しておまかせ頂ける
  • 加えて、相続や不動産といった資産税もあわせて対応できる

 

くらいのざくっとしたお話しかしていなかったのですが、

いい機会なので、もう少しクリアに言語化してみようと思います。

 

※ 私自身、まだまだ(というか一生、)精進している最中なので、ある意味「こうなるべき」・「こうでありたい」という姿の具体化という意味で。

①医療固有の税務に精通していること

まずは、前提として、医療固有の税務にきちんと精通していること、は当然の要件です。

 

例えば、収入一つとっても。

 

医療機関の収入は、種類が非常に多い、という特徴があります。

社会保険診療支払基金や国民健康保険から支払われる「保険診療」、介護保険から払われる「介護保険収入」自治体や医師会などから支払われる「予防接種や検診、健康診断の委託料」、クリニック様が個別になさる「自由診療」、「労災収入」や「自賠責収入」、証明書発行などの「文書代」、「物品販売」収入などなどなど。

また、ベッドのある有床診療所であれば、ベッド代や食事代などの「入院」に関わる収入も出てきます。

 

これらそれぞれを、「所得税」(・「法人税」)や「消費税」でどう取り扱うべきなのか、を理解したうえで、

適切に会計を作って、支払うべき税金を計算しているかどうか。

 

例えば、

 

同じ「文書代」でも労災と自賠責をなぜ分ける必要があるのか、

国民健康保険から支払われていても、特定健診を区分して計上しなければいけないのはなぜか、

「自由診療収入」と「雑収入」をどうして分ける必要があるのか、

診療報酬の請求額と入金額や、窓口収入割合をなぜ細かく見る必要があるのか、

同じ「診察」でも、先生がクリニックでなさる「休日診療」と市区町村などが運営する休日診療所でなさる「診察」では、取り扱いがどう違ってくるのか、

 

などなど。挙げ始めたらきりがありません。

 

また、ご収入以外にも、

 

  • 「概算経費の特例」の適用にあたって注意することは?
  • 専従者給与は、いつ、どの程度支払っていくのか?
  • 医療機器を購入したいと思っているが、どのタイミングが適切か?何か適用できる税制の特例はあるか?
  • 小規模企業共済は、今加入したほうがよいのかどうか?
  • 法人化する最適なタイミングは?
  • MS法人の活用の適切なスキームは?

 

などなど、これもまた、挙げ始めたらきりがありません。

 

先生がクリニックを経営される中で、当然に疑問に思われる上記の論点について、

顧問税理士として、抵抗なくお答えできるかどうか(=前提として、頭の中で体系的に整理されているかどうか)は、

非常に重要な要素です。

 

思うのですが、

 

「クリニックや医療法人のお客様が多いということ」の価値は、

 

上記のような論点について、

 

 

お客様である先生がたからご質問を頂き、

そのご質問について、専門家として、先生にとっての最適解を考えながらお答えしていく

 

 

という経験を繰り返すことで、

 

体系的に、院長先生がたにとって考えるべき「会計・税務の論点」が整理され、

先生がたに「必要なタイミングで」、先を見据えたご提案ができる状態になっている。

 

ということなのかな、と思います。

 

・・・とここまで書いて、①つめの論点で書きすぎてしまったので、

②つめ以降は、また別の機会に。

 

今のところ考えている要素は、

 

② 医療業界の常識、医療法等の関連法規や行政関連などへの理解が深いこと

③ その他の関連知識(労務、広告、行政、etc)を幅広く持ち、単なる「会計を作って税金計算してくれる人」に

とどまらないこと

④ 先生のご質問に、「具体的」で「少し先を見て頂ける」回答ができること

⑤ もっというと、ご質問いただく前に、こちらから「具体的」で「少し先を見て頂ける」提案ができること

 

といった要素を考えているのですが、

きっとこれらも、日々の先生がたとのやり取りの中で、アップデートされていくべきものなのかもしれません。

 

また時間を見つけて、言語化を進めていこうと思います。

 

【ひとりごと】

久しぶりのサントリー美術館。

河鍋暁斎「その手に描けぬものなし」(←言ってみたい笑)。

画風も画題も本当に幅広くって(風刺画だけじゃなくって、戯画、美人画、宗教?画、etc)、楽しめました。

有名になった後も、印章に「一生稽古」という文字を使い、古画の模写などの努力を欠かさなかったそう。かっこよすぎ。