税金・節税

「電子帳簿保存法」とは?まず何を対応すべきか?

2021.10.31
税金・節税

今回は、「電子帳簿保存法」の改正について。

じみ~に(・・・でもなく)、いろんな影響がある内容。

来年1月からのご対応が必要ですが、そのためには、いくつか準備が必要となりますので、

私もお客様に順次ご案内し、対応をご相談しているところです。

そもそも何の話?何をすべき?・・・といった基本的なところをまとめておこうと思います。

※ 2021年10月時点の情報に基づき書いております。また概要のみの記載となります。

1.そもそも「電子帳簿保存法」とは?

  • 「電子帳簿保存法」とは、正式な名前を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。
  • その正式な名前のとおり、帳簿や資料などの書類の保存を、紙ではなく電子で保存するためのルールを定めた法律になります。
  • 書類の保存の負担を減らすために、電子での書類や帳簿保存を認めるよ、ただし、書類の保存を適正に行うためのルールを決めるのでそれを守ったうえで保存してね、ってことですね。
  • 法律としてはもともと存在していたのですが、この2022年1月から大きく改正となります。

 

2.令和3年度の改正のポイントは?(概要のみ)

今回、大きく、①「電子帳簿の保存」・②紙の書類をスキャンして保存する「スキャナ保存」・③「電子取引」の3つの側面から改正が入りました。

①「電子帳簿の保存」・②「スキャナ保存」については、基本的には要件が緩和となります。できるだけ電子で保存していってね~、ということですね。

改正ポイントの中で主なもののみピックアップします。

 

① 電子帳簿保存

 

  • 電子での保存をするために必要だった「税務署長の事前承認」が不要となりました。
  • 優良な電子帳簿を実現した場合のメリットが追加になりました(申告漏れがあった場合の過少申告加算税が5%軽減)。
  • 最低限の要件で、電子帳簿の電磁的記録による保存等が可能となりました。(システム関係書類の備え付け、ディスプレイ等での閲覧環境など)

 

② スキャナ保存

 

  • スキャナ保存をするために必要だった「税務署長の事前承認」が不要となりました。
  • タイムスタンプ要件・検索要件等の要件が従前より緩和されました。(例:タイムスタンプ付与期間が、最長で約2か月と7日)

 

・・・と、ここまでは、緩和なのですが、今回重要なのは、3つめ、③「電子取引」についてです。

③ 電子取引について

 

  • 電子取引の資料(具体的には、下記3.でご説明します)が、紙で保存することができなくなりました

 

①「電子帳簿」・②「スキャナ保存」についても、生産性向上の観点から、もちろん将来的には検討が必要にはなってくると思うのですが、

基本的には、これまで紙で保存していた場合は、いくつか対応したうえで、まずはいったんそのまま紙保存で進られると考えてよいと思います。

ただし、③電子取引については、「これまで認められていたものが認められなくなる」ものなので、優先的に対応が必要となってきます。

 

では、そもそもですが、対応が必要な「電子取引」とは何かを見ていきたいと思います。

 

3.「電子取引」とは何が該当するのか?

  • 注文書や請求書、領収書等を電子メールやWEB上で授受する取引を「電子取引」といいます。

 

上記のご説明で「・・・ん?意外にたくさんありそうでは?」と思われた方、そのとおりです。具体例としては、下記のようなものがあります。

  • 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
  • インターネットのホームページからダウンロードした請求書・領収書等のデータを利用(Amazon等が該当しますね)
  • ホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリーンショットを利用
  • 電子請求書や電子領収書の授受に関するクラウドサービスを利用(例:MF請求など)
  • クレジットカードの利用明細データ交通系ICカードによる支払データ(SUICA・Pasmo)スマートフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
  • ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
  • 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領  など。

 

・・・と、結構、思い当たるものが多いのではないでしょうか。

 

このような取引で受領したものを「印刷して紙で保存」すると、2022年1月以後の取引については、国税関係の書類としては認められなくなるので、

紙ではなく、電子データにて保存する必要がでてきます。

 

では、具体的にはどのように保存すればよいのでしょうか。

4.電子データで保存とは
具体的にどうすればよいのか?

こちらは、この7月に発表された、国税庁の「一問一答」に具体的な保存方法が記載されています。

(※特に、利用頻度の多そうなものは太字下線

① 電子メールに請求書等が添付された場合

→ 請求書等が添付された電子メールそのものをサーバ等自社システムに保存

→ 添付された請求書等をサーバ等に保存

② 発行者のウェブサイトで領収書等をダウンロードする場合

  • PDF等をダウンロードできる場合

→ ウェブサイトに領収書等を保存

→ ウェブサイトから領収書等をダウンロードしてサーバ等に保存

  • HTMLデータで表示される場合

→ ウェブサイト上に領収書を保存

→ ウェブサイト上に表示される領収書をスクリーンショットし,サーバ等に保存

→ ウェブサイト上に表示されたHTMLデータを領収書の形式に変換(PDF等) し,サーバ等に保存

③ 第三者等が管理するクラウドサービスを利用し領収書等を授受する場合

→ クラウドサービスに領収書等を保存

→ クラウドサービスから領収書等をダウンロードして,サーバ等に保存

④ 従業員がスマートフォン等のアプリを利用して,経費を立て替えた場合

→ 従業員のスマートフォン等に表示される領収書データを電子メールにより送信さ せて,自社システムに保存する。

→ スクリーンショットによる領収書の画像データでも可。

5.その他に満たすべき要件は?

下記のいずれかの要件を満たす必要があります。

  1. タイムスタンプが付与されたデータを受領
  2. 速やかにタイムスタンプを付与
  3. 訂正削除を行った記録が残るシステムまたは訂正削除ができないシステムを利用
  4. 訂正削除の防止に関する事務規程を策定、運用、備え付け

また、事後的な確認のために、検索できるような状態で保存する、ディスプレイ等の備え付け等も必要となります。

6.1月に向けて何を準備すべきなのか?

このタイミングで、要件の1.~3.を満たすタイムスタンプや保存システムの導入を検討されるのもよいですし、

まずは、4.の事務規程(規程のひな形が国税庁から発表されています)の策定で対応されても思います。

 

ただ、保存要件を満たさない場合、取引情報のデータの保存がなかったものとして、

青色申告の承認の取り消しの対象にもなり得ますので、確実に対応いただくことが必要です。

 

→11月15日追記:国税庁より、11月12日に追加情報が発表されました(国税庁:お問い合わせの多いご質問 令和3年11月)。

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補4 一問一答【電子取引関係】問 42(一部抜粋)

その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。

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つまり、電子取引を電子ではなく書面で保存してしまっていた、という事実だけで、すぐ青色承認の取り消しになることはない ということになります。

 

いずれにしても、まずやるべきことは、

今の業務プロセスで電子取引に該当するものが何なのか?のリストアップ

だと思います。

 

3.でみていただいたとおり、「今まで紙で印刷していたのだけど、これからは電子で保存」というもの、結構あると思います。

また、スタッフさんの経費精算等については、経費精算の方法や資料提出などにも変更が必要となってくる可能性があります。

まずは、その取引を見える化したうえで、対応するアプローチを検討いただくのがよいかもしれませんね。

・・・ということで、お客様には、「電子取引」チェックリストをお渡しし、ご一緒に確認しつつ、1月の改正に向けたご相談を始めています。

まずは、「電子取引」を優先的に対応していきますが、全体的な電子保存への対応で、お客様の業務効率化が進んでくるとよいな、と思います。

近い将来にくるインボイス制度との関連も気になりますし。。

 

 

【ひとりごと】

新宿御苑の紅葉。少しずつ色づいてきました^^。

11月には、恒例の菊の花壇展もはじまります。すっかり秋・・・を感じます。

 

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