税金・節税

「小規模企業共済」に加入すべきかどうか?

2018.10.17
税金・節税

ご訪問ありがとうございます。

開業ドクターの「伴走者」、医療・クリニックに強い税理士の松浦 薫です。

モットーは、「お客様が『一番永く、深く関わりたいと思う専門家』になること」

院長先生が理想とする、自分らしいクリニックを作って頂くために、頼りになる「伴走者」であることを目指してます。

 

今年もいよいよ残り3ヶ月となりました。
開業されている先生方には、そろそろ年末に向けた所得額と納税額の試算をお伝えするシーズンがやってきます。

開業された年度の先生については、そこまで所得やご納税額を心配されるケースは多くないのですが、
開業2年目以降、順調に推移しておられる先生におかれては、

「うーん、利益が出ているのは嬉しいんだけど、、、(注:心の声・いくら税金で消えるんだろう)」

 

という悩ましい心境でいらっしゃいます。

そんなとき。
まず、ご紹介するものの1つとして、「小規模企業共済」があります。
「小規模企業共済」。聞かれたことはありますでしょうか。
ベーシックにご紹介できる節税策ですが、留意点もありますので、整理してお伝えできればと思います。

マイ「小規模企業共済 制度のしおり」。ちょっとクタクタしてる。
お客様の加入も自分の加入もこの子と一緒に検討してきました笑。

1.「小規模企業共済」とは

「小規模企業共済」は簡単にいうと、

・ 個人事業者や中小企業の経営者の方が、
・ ご自分の「退職金」として、積み立てをする共済制度で、
・ 退職したり、事業を廃止した場合などに解約し、それまで積み立てた掛金の金額に応じて共済金を受け取ることができるもの

です。
国の中小企業政策の中核的な実施機関である、中小機構(URL http://www.smrj.go.jp/index.html)が提供している制度になります。

特に、院長先生の様に、ご自分で事業をされている個人事業者の方は、一般のサラリーマンと違って、永きにわたってお仕事されたとしても、ご自分に対する「退職金」は支給できません。そのため、この制度を使って、ご自身の「退職金」をご準備頂くことをおすすめしています。

冒頭で「まず、ご紹介するものの一つ」と言いましたが、この「小規模企業共済」制度は、幾つかの留意点を押さえて頂ければ、リスクが少なく色んなメリットを享受できる制度です。そのため、
「開業後、所得がかなり出てきそう、、、」
という先生には、まずご検討頂くとよい制度なのかと思います。

2.小規模企業共済のメリット

まず、小規模企業共済のメリットとしては、以下のようなものがあります。

①掛金が全額「所得控除」となる。
小規模企業共済の掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」として
「所得控除」の節税効果があります。
もし、所得税率が45%を超えられている先生の場合、最大掛金(年額)84万円を掛けた場合、84万円??45%=約38万円の所得税の節税効果(+住民税も)。

②掛金合計額の最大120%相当額の受け取り
掛金納付月数に応じて、掛金合計額の最大120%相当額の受け取りとなります。
(※どういう理由で受け取るかによって、受け取り金額が変わってくるのですが、それは後の「留意点」で。)
満期や満額もありません。
掛金は月1000円~最大月70000円の範囲内で自由に設定ができ、加入後もいつでも変更が可能です。

③受け取り時の所得は「退職所得」として税額が抑えられる(一括の場合)
共済金を一括で受け取った場合は、「退職所得」扱いとなります。
「退職所得」は、「給与」として受け取るよりも、控除額が大きくなりますので、共済金の受け取り時の節税効果も大きいです。

④事業資金の貸付制度
納付した掛金の範囲内で、事業資金等の貸付も可能なので、「もしも」の時のサポートとしても使えます。

中でも、特に、1と3。
「支払う時は、全額所得控除で、受け取る時の税金も優遇されている」
ことが、かなり大きなメリットとして感じて頂けるのではないかと思います。

また、共同経営者の要件を満たせば、配偶者等の事業専従者の方も加入することができますので、先生だけでなく、ご家族など専従者の方も含めて考えると節税効果は大きいものがあります。

3.小規模企業共済の留意点

節税効果も高く、先生にとってメリットも大きな「小規模企業共済」ですが、
幾つか(というか大きくは、1点だけ)、留意点があります。
なにかといいますと、、、

「医療法人の役員」は「小規模企業共済」の加入資格がありません!

つまり、、、
今個人事業のクリニックですが、近いうち、医療法人化を予定されている先生は、

医療法人化により、「加入してもすぐに終了」

ということになってしまうのです。
・ 小規模共済の終了(「共済事由」といいます)には、いくつか種類があるのですが、個人事業のクリニック経営者の方が医療法人化して役員になったときは、
「A共済事由」(個人事業の廃止など)に該当します。

その場合、加入後6ヶ月未満での事由については「掛け捨て」となってしまいます。。。

つまり、
「半年以内に医療法人化を予定されている先生は、確実に掛捨てとなってしまう」
のです。
くれぐれもご注意下さい。
・ 例えば、来年3月設立4月法人診療開始が予定されているけど、今年の個人事業の所得がかなり出そう。12月に加入して1年分84万円(前納いれてプラスα?)をしはらった場合、、、、あっさり掛け捨てです。

なお、この「A共済事由」ですが、

  • ・ 6ヶ月以上については、36ヶ月未満までは、掛金と同額の共済金、
  • ・ 36ヶ月以上であれば、掛金を上回る金額の共済金

の支払いとなります。
※ ご参考:共済掛金と共済金の金額についてはこちら(http://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/proceed/index.html)をご覧ください。

そのほかの共済事由としては、

  • ・「B共済事由」(65歳以上で180ヶ月以上掛金納付の場合)
  • ・「準共済事由」(法人成りし、その会社の役員に就任しなかった場合など)
  • ・「解約事由」(任意解約など)

などがあり、「解約」の場合は、240ヶ月(20年)未満は掛金を下回ってしまう、などの留意点もあります。

ということで、「小規模企業共済」。
先生のご事情によって、適切なタイミングと、適切な金額があります。
せっかくの節税効果の高いものですので、きちんとご検討頂き加入頂ければと思います。

そして、この「小規模企業共済」だけではなく、
開業医の先生方が検討された方が良い節税策は多岐にわたります。

ご訪問のたびに、その先生に合わせて色々とお話ししていたのですが、
どうしても全ての項目をご訪問時にご相談するのは時間的に無理もあり、
抜けもれが出てしまう、、、ということで、
「院長先生の節税チェックリスト」という「チェックリスト」を作っています。
(詳細は、また別記事で。。。)

個人の開業医の先生方にとって、
これから数ヶ月は年末に向けた所得とご納税額の見込みが、とても大きな関心事の1つ。
毎年10月以後のご訪問は、この「チェックリスト」をおもちし、
ご覧いただきながら、色々とおはなしをさせて頂くようにしています。

そして、1年という時間の過ぎる早さを、しみじみと実感しているのです(笑)。

今年もあと3ヶ月。先生方にとって、今年もよい年末を迎えて頂けますように。

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