医療・クリニックに強い税理士松浦薫のブログ
「所得拡大税制」という言葉をお聞きになったことがありますか?
法人税、所得税の税額控除(税金を減らす)の特例の一つで、あえて簡単にいうと、
従業員に対する給与を増やした企業や個人事業者に対して、国が、
従業員の給与を増やしてくれてありがとう!その代わり、少し税金を減らしてあげるね!
と、法人税や所得税を減らしてくれる特例になります。
(やっぱり簡単にいいすぎました。。。)
別の呼び名は「賃上げ税制」。
もう少し具体的にいうと、(※中小企業の平成30年4月1日以後、個人事業主は平成31年分以後)
従業員(注:これも「継続雇用者」という一定の条件があります)の給与が前年比で1.5%以上増加した場合、
支払った「給与総額」の前年度からの増加額の15%を税額控除
してくれる、という特例になります。
※あえて、わかりやすく要件などを簡略化して記載しています。本来は、「継続雇用者」や「給与総額」などの要件を正確に抑える必要があります。詳細は、中小企業庁HPにて。
ちなみに、改正前はもっと複雑な要件で(涙)。適用があるのはお客様にとって大変メリットがあるので良いのですが、
適用の判断や計算をする立場としては結構苦労の多い特例でもありました(正確にいうと今も現在進行形で計算中です。。。)
この平成30年度税制改正で、上記のとおりのシンプルな適用要件になり、
今決算を迎えている医療法人のお客様(=平成30年度4月1日以後に開始する事業年度を迎えるお客様)には、
徐々に内容をご案内させていただくようにしています。
そして、個人事業者でいらっしゃる開業医の先生方には、平成31年1月1日以後からの話なので、
来月くらいから少しずつお話しを始められれば、と思っております。
というのも、個人的に、この税額控除の特例は「しっくりくる」というか納得のいく税額控除、でして。
なにかというと、
経営者である、医療法人の理事長や個人クリニックの院長先生、
頑張ってくれる従業員には、少しでも長く楽しく働いてほしい
そのために、給与という形で報いてあげたい
と思われている先生方、多いと思います。
その先生方の思いが、「税金が減る」という目に見える形のメリットとして返ってくる、という意味で、
すごく、「しっくりくる」税額控除なのです。
で、この今回の30年度税制改正で、更に「しっくりくる」度が増す内容となりましたので、
ご案内していきたいと思います。
なにかというと、上記の要件に上乗せ措置がありまして、具体的には、
従業員(注:これも「継続雇用者」という一定の条件があります)の給与が前年比で2.5%以上増加した場合、
かつ、一定の要件(下記に後述します)を満たす場合、
支払った「給与総額」の前年度からの増加額の25%を税額控除(つまり、10%上乗せ)
ということなんですね。
少し給与の増加幅が大きくなり、かつ一定の要件を満たせば、もっと税金を減らしてあげるよ、ということです。
で、この一定の要件というのは、次のいずれか、なのですが、
① 教育訓練費が前年度比で10%以上増加していること
② 中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われていること
個人的には、この①の「教育訓練費」が、更にこの「賃上げ税制」が「しっくりくる」理由になっています。
「教育訓練費」。
正確な定義は、中小企業庁の「利用ガイドブック」に任せるとして、
例えば、
受付の接客接遇をもっとよくしたいので、外部講師にきてもらって研修した
やる気のある事務の人にレセプトを覚えてもらうために研修に行ってもらった
といった、「人への投資」が、一定の要件を満たせば節税につながる、という内容なんですね。
従業員のスキルを上げたい、育ってほしい、そして長く楽しく働いてほしい
という経営者の想いに応える(・・・といったら言い過ぎでしょうか)制度だなー、と個人的は感じているわけです。
但し、この「教育訓練費」、色々と注意点がありまして、
単純に教材を購入した、という場合はその費用は「教育訓練費」に含まれない(以前の「人材投資促進税制」とは定義が異なります)。
※ 但し、e-ラーニングやコンテンツ提供企業に対する利用の対価として支払う費用は含まれます。
教育訓練用のe-ラーニング等のコンテンツを自分で作成した場合の製作費は含まれない
など、
「含まれるもの」「含まれないもの」が細かく定義されています。
ちょうど、今月、中小企業庁から詳細の定義が記されたQ&Aが発表されました。(おそらくまたアップデートがあるのかな?)
読み込んで、また改めて、ご案内していこうと思います。
(ひとりごと)
朝の習慣。一杯の緑茶。おちゃっぱも一緒に頂いて、寝起きの頭もすっきり。
&お茶のお供もたまに^^(いや、毎朝!?)
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